異世界に召喚されたやる夫は、何の能力もないという理由だけで見捨てられ、
牢に閉じ込められたまま飲まず食わずで命を落としてしまいます。
呼び出した国は魔王討伐を名目に着飾った王が私腹を肥やす身勝手な国で、
共に召喚された者たちも助けてはくれませんでした。
魂だけの存在となったやる夫に残されていたのは、死した者からスキルを吸収できる特異な力でした。
彷徨う中でレイスから力を奪って死神のような姿となり、幽霊である自分に気づいてくれる幼い少女や、
この世に留まる理由を持つ不思議な存在とも出会います。
理不尽な国の実態を知りながらも、すぐに復讐へ走らず、まずは世界そのものを見て回ることを選びます。
各地の墓場を巡ってスキルを集め、少しずつ力を蓄えながら、
亡き者たちの想いを胸に当てもない旅を続けていきます。
静かな寂しさと温かさが同居する、しみじみとした一作です。